競売との違い
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任意売却と競売の違い
任意売却と競売では再スタートのラインや精神的負担が大きく違います。
「任意売却」は「競売」と比較すると多くのメリットがあります。
競売について理解したり、下記の表を比較して違いを把握したりすることで、任意売却を推奨する理由をご説明します。
競売とは、不動産売却して解決するための最終手段
不動産の競売とは、債務者(借り入れした人)の借入金を返済するために行われます。
具体的には、民事執行法に基づいて「住宅ローンなどの借入金を(滞納などによって)返済することが困難になった」場合に、債権者(多くは金融機関)が裁判所に対して申立てすることで実行されます。
こうして、借り入れの担保となっている土地・家・マンションといった不動産を、裁判所を通じて強制的に販売されます(売却された代金は、金融機関などの債権者で配分されます)。
競売にかけられた時点で、債務者には不動産の所有権がなくなり、市場相場の50%~70%の額で取引がされてしまいます。
なぜ、市場相場よりも割安な金額で取引されなければならないの?
これは民法570条で「前所有者は瑕疵担保責任を負われない」ことが定められているためです。
競売によって債務者は、持っていた物件の不具合を直す義務がなくなります。その代わりに、購入者がすべての責任を負うようなシステムとなっているのです(購入者は改修費や不備など責任の全てを負う)。
こうした購入者のリスクを軽減するために市場相場の30%~50%も安い価格で取引されてしまうのです(なお不動産価格は、裁判所から依頼を請けた不動産鑑定士によって決定されます)。
競売が債務者にかかるデメリット
競売にかけられてしまった場合には多くの制約・強制力に従わなければなりません。
まず、競落人が落札後6カ月以内に申立てをした場合、債務者に「不動産引き渡し命令」がされ、1~2週間ほどで話し合いのうえで立ち退きしなければなりません。
もし応じなければ”強制執行”が申立てされ、強制立ち退き費用はすべて債務者負担のうえで退去させられます。
この時、立ち退きにかかる引越費用や諸経費は控除されず、基本的に全額を請求されます。
また、残ったローンの残債も「一括で支払いする義務」が発生し、一括で全額返済できない場合は給与も差し押さえられる場合があります。
こうなると生活資金を捻出するのも困難になり、手持ちはほとんど残らないことを覚悟しなければなりません。
つまり、競売にかけられたという状況は、不動産に対して一切の責任が無くなることを引き換えに「時間・お金の状況に関係なく、全ての命令に従う以外許されない」という非常に重たい決定なのです。
この結果、最悪の手段として自己破産で清算せざるを得ないケースも多々あり、連帯保証人や家族・親族にも大きく負担を強いてしまいかねません。
競売と任意売却の違い
任意売却:所有者の意思のもとで売却を決めます。
競売:所有者の意思関係なしに強制的に売却が決まります
「家を失うなら、どうせ任意売却も競売も同じようなものだ」と考え、諦めきっている方もいらっしゃるかも知れません。
しかし、任意売却と競売では同じ売却でもその流れや債務者に許される権限が大きく異なります。下記の図をもとに見比べてみましょう。
※表は横にスクロールできます
競売 | 任意売却 | |
---|---|---|
売却価格 | 市場価格の50%~70%の場合が多い |
市場価格に近い価格で売却できる場合が多い |
プライバシー | 新聞・ネットに公開され、近所や職場に知られる可能性あり |
通常の不動産売却に近い方法のため、事情を知られず売却可能 |
持ち出し金 | 引越費用など全額債務者負担 |
一切なし |
残債 | 任意売却よりも多く残る可能性が高い |
競売よりも残債は少なくなる可能性が高い |
残債の返済 | 即座に一括での返済を求められる |
長期的に分割返済が可能 |
自宅に済み続けられる可能性 | 可能性なし、強制退去の場合も |
親族間売買・リースバックで住み続けることも可能 |
引越日 | 所有権移転のため、引越日は選択不可 |
購入者と債務者で引越日を設定可能 |
引越費用 | 費用を控除されるケースはほぼなし |
債権者との交渉次第で、最大30万円の費用補助あり |
債務者の意思反映 | 債務者の意思は一切反映されない |
通常の不動産売却と同様、自身の意思のもとで売却・交渉が可能 |
…以上を要約すると、
・任意売却:有利な条件で生活再建するためなら、全ての力を注ぐ
・競売:全ての権利を放棄する代わりに、全ての命令に従うしかない
と言っても過言ではありません。
いずれにもメリット・デメリットがありますが、相談者様が「今後の生活をどうしたのか」によって売却方法を選択することができます。
しかし、任意売却は個人で行おうとすると多大な労力も膨大な知識も必要であることは念頭に置いてください。
まとめ
・住み慣れた我が家を守りたい
・できるだけこの地で住み続けたい
・有利な条件で売却したい
・引越時期や費用を猶予してほしい
…任意売却と競売では、今後の生活に大きなスタートがあります。
ご相談者様がどのような生活にしたいかが大切です。
もし少しでも可能性が残っているならば諦めずに、再スタートを目指しましょう。
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