住宅ローンが払えなくなったら③ セール&リースバック

セール&リースバック(Sale and Leaseback)は、所有している不動産を第三者に売却し、その後その不動産を賃貸借契約に基づいて借り続ける形態の取引です。これにより、不動産を売却して現金を得つつ、そのままその不動産を使用し続けることができます。以下にセール&リースバックの主要なポイント、メリット、デメリット、および手続きの流れをまとめます。

メリット

  1. 即時の資金調達:
  • 不動産を売却することで、大きな額の現金を迅速に得ることができます。この資金は、事業拡大、借入金返済、個人の生活費など、様々な目的に利用できます。
  1. 継続使用:
  • 売却後も同じ場所で事業や生活を継続することができるため、引っ越しや事業運営の中断を避けることができます。
  1. 資産のオフバランス化:
  • 不動産を売却することで、バランスシート上の資産を減少させ、財務比率を改善することができます。これは特に企業にとって、財務健全性の向上や信用格付けの改善に繋がります。

デメリット

  1. 将来的なコスト増加:
  • 賃貸料の支払いが必要になるため、長期的にはコストが増加する可能性があります。特に契約更新時に賃貸料が上昇するリスクがあります。
  1. 資産喪失:
  • 不動産の所有権を失うため、将来的な資産価値の上昇や資産としての活用ができなくなります。
  1. 契約条件の制約:
  • 賃貸借契約の条件によっては、使用方法や改装、修繕などに制約が生じることがあります。

手続きの流れ

  1. 不動産の査定:
  • 専門の不動産業者に依頼して、売却予定の不動産の市場価値を査定します。
  1. 売却先の選定:
  • 投資家や不動産会社など、適切な買い手を見つけます。この際、信頼性や資金力を確認することが重要です。
  1. 売買契約の締結:
  • 売却価格や引渡し条件などを含む売買契約を締結します。
  1. リース契約の締結:
  • 売却と同時にリースバックの賃貸借契約を締結します。賃貸期間、賃貸料、契約更新条件などを明確に定めます。
  1. 資金の受領:
  • 不動産の売却代金を受領し、同時に賃貸借契約に基づいて不動産を使用し続けます。

具体例

セール&リースバックは、企業や個人が資金調達を行うための有効な手段です。例えば、企業が本社ビルを売却してリースバックすることで、即時の資金を得つつ、同じ場所で事業を継続することができます。また、高齢者が自宅をセール&リースバックで売却し、資金を得ながら同じ家に住み続けるという活用法もあります。

専門家の活用

セール&リースバックの実施には、不動産業者や金融機関、法律の専門家(弁護士、司法書士など)の協力が重要です。適切な助言とサポートを受けることで、円滑かつ安全な取引を行うことができます。

セール&リースバックは、即時の資金調達と継続的な不動産利用を両立させるための有効な手段ですが、長期的なコストや契約条件の制約などを慎重に検討することが必要です。