住宅ローンの6ヶ月以上の滞納は、財産の強制的な売却である競売へと進む重大な段階です。これは金融機関が債権回収のために裁判所に申し立てを行い、裁判所が「競売開始決定通知書」を発行することから始まります。この文書は、財産が法的に競売にかけられることを債務者に正式に通知するものです。
次に、裁判所の執行官が物件を訪れ、その状態や価値を評価するための「調査票」を作成します。執行官とは、裁判所の命令を実施するために派遣される公的な役職者です。物件の評価には、通常、周囲の市場価格や物件の状態などが考慮されます。その後、裁判所から「期間入札の通知」が届きます。これは、競売入札が開始される日付を知らせるもので、通常は調査票作成から3〜4ヶ月後になります。
この通知の後、物件情報は新聞やインターネットで公開され、広く一般に競売が告知されます。競売物件は、基準価格を設定するために、多数の競売専門業者によって評価されます。競売入札が開始されると、債務者は自宅からの強制退去へと進むカウントダウンが始まります。通常、競売入札開始から強制退去までは約6ヶ月の期間がありますが、この短い間にも債務者は任意売却の選択肢を追求できます。
任意売却は、債権者と協議して市場価格で物件を売却し、競売よりも良い条件でローンの残債を返済する方法です。理論上、競売の開札期日の前日まで任意売却は可能ですが、実際には債権者がそれを許容することは稀です。このような状況では、物件を市場価格よりも高く売却し、将来の財政的余裕を確保するために、迅速に法律や不動産の専門家に相談することが推奨されます。専門家は、債務者が直面している法的・財政的問題を評価し、可能な限り最良の解決策を探るのを助けることができます。

競売開始決定通知書とは

「競売開始決定通知書」とは、住宅ローンの長期滞納などにより、債権者(通常は金融機関やその保証会社)が不動産を担保として持つローンに対する回収を目的として裁判所に申し立てを行い、裁判所がこれを受理して不動産を差し押さえ、その後の競売手続きを開始することを債務者に通知する公的な文書です。滞納からおおよそ9ヶ月後に送付されるのが一般的ですが、個々の状況によって異なる場合があります。競売開始決定通知書を受け取ると、不動産の登記簿に差し押さえが記録され、これが公的記録として一般に公開されます。
このことにより、不動産が担保として差し押さえられている状態が、第三者にも知られるようになります。競売開始決定通知書を放置することは大きなリスクを伴います。この文書を受け取った時点で、競売に向けた準備が始まり、裁判所主導の下で競売が進行します。債務者が適切な対応を取らない場合、物件は最終的に競売にかけられ、市場で売却されることになります。売却額は通常、市場価格よりも低く設定されることが多く、債務者が負債を完済するために得られる金額も少なくなる可能性が高いです。この段階に至った場合でも、任意売却を試みることで、競売よりも高い価格で不動産を売却し、より多くの債務を返済することが可能になる場合があります。このためには専門家に迅速に相談することが重要です。

競売開始決定通知書が届いても諦めずに相談を

競売開始決定通知書の受領は、金融機関や保証会社が裁判所に債務者の不動産を差し押さえることを認めさせ、その不動産の売却を通じて貸付金を回収しようとする法的手続きの開始を意味します。この通知書は、債務者に対し、裁判所が競売手続きを開始したことを告知する公式文書であり、競売が開始されると通常は通知書の受領から約6ヶ月以内に物件が市場に出されます。競売にかけられる物件は、市場価格の70%程度という低価格で売却されることが多く、落札された後は債務者は速やかに強制退去させられる可能性があります。これは、新たな所有者が物件を利用する権利を持つためです。しかしながら、競売よりも前に任意売却を行うことで、物件を市場価格に近い価格で売却し、債務者自身が引越しの時期を選ぶ自由を持ち、住宅ローンの残債を分割で支払うことも可能となります。
任意売却は競売による強制的な売却ではなく、債務者の意志に基づいて不動産を売却することで、競売に比べて条件面で優位性があるとされます。不動産会社によっては任意売却の実績が乏しく、必要なノウハウを持たない場合もあるため、任意売却に精通した専門家に相談することが不可欠です。インターネットなどで専門家を検索し、実績や経験を踏まえて慎重に選ぶことが求められます。
また、専門家を通じての自宅の買い戻しは、競売開始決定通知書を受け取ったとしても、物件を失うことなく、現在の住まいに住み続ける一つの解決策となる可能性があります。この方法では、新たな融資条件で物件を購入し直すことになりますが、債務者には新しい財政計画が必要となります。
したがって、競売開始決定通知書が届いても、それが終わりを意味するわけではなく、適切な対応をすれば、まだ解決策を見出すことができるのです。

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