vol.351 渋滞率東南アジア1?首都圏人口3100万人のジャカルタ交通事情 【インドネシア】

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ジャカルタに滞在していると、そのつもりがなくても「マチェッ」(渋滞)というインドネシア語を覚えてしまう。「ジャカルタの生活で最も頭の痛い問題は交通渋滞」と、地元の日本語情報誌が発行する生活ガイドにもあるほどで、避けて暮らすのは難しいからだ。

 家に遊びに来ることになったインドネシア人の友人に到着時間を尋ねたところ、「さあ?渋滞次第ね」。その日の道路状況で所要時間が大幅に変わるため、約束をしても時間はあくまで目安。近くまで来たら、携帯電話で連絡を取り合うほかないのが実情だ。

 鉄道建設の工事で、市中の道路は幅が狭まっているところが多い。幹線道路ではそれなりに車が走っていても、急に車線が減ったり、道路が交差したりする場所での渋滞は慢性的だ。中心部ではデモや政治集会のたびに交通規制が行われる。金曜日の午後に集合礼拝が行われるモスクの周辺や、登下校時間に送迎の車で込み合う学校付近でも局地的な渋滞が起きやすい。

ムスリムの男性たちが集まる、モスクでの集合礼拝
日本人駐在者も多く住むジャカルタ南部の、夕方の帰宅ラッシュ

 雨季に入ると、しばしば道路が冠水するので車が進まない―という具合で、避けるべき場所を頭に入れておかなければならない。

雨季にはあちこちで道路の冠水が起きるため、徐行せざるを得ない

アジア競技大会でも渋滞が問題に

 今年8月に開催された第18回アジア競技大会では、やはりジャカルタの交通事情が問題になった。北部クマヨランに設けられた選手村から競技会場までの移動では、警察の先導つきでバスを走らせた場合は30分ほどだったが、ほかの車で移動した場合は1時間以上かかったという。競技や練習の時間に間に合うように会場に到着するため、複数国の選手団が同じバスに乗り合わせて移動するなどの対策がとられた。

 会期中、渋滞を緩和するため、周辺の主要道路では車両ナンバー末尾の数字が偶数か奇数かで通行が規制された。しかし、規制区域の案内がわかりにくく、日によって変わるための混乱も生じたようだ。わたしの友人は、偶数番号の自分の車と、奇数番号の家族の車を使い分けていたが、いずれにしても車を使うことに変わりはない。

渋滞による経済損失は8400億円

 ジャカルタは、いろいろな機関の調査で、常に渋滞の深刻な都市の上位に挙げられている。2016年には、世界78都市を比較したイギリスの会社の調査 (The Castrol-Magnatec Stop-Start Index)で「世界最悪の渋滞都市」という結果が出た。GPSを利用して車1台が「渋滞のためにブレーキを踏む回数」を調べたもので、トップのジャカルタは、年間で平均約33,240回だった。調査の手法により順位は多少入れ替わるが、東南アジアではジャカルタとフィリピンのマニラ、タイのバンコクが渋滞都市としておなじみの顔ぶれだ。

 インドネシア国家開発庁は、ジャカルタ首都圏で慢性化する渋滞による経済損失は、年間10兆ルピア、日本円にして約8400億円に上ると試算している。