相続財産は亡くなった日の時価で評価される

相続財産の評価は原則として被相続人が亡くなった日(相続開始日)の時点の時価に基づいて行われます。相続税の課税額を算出するために、財産の種類ごとに評価方法が定められており、それに従って評価額が決定されます。

相続財産の評価方法

1. 不動産

不動産は主に以下の方法で評価されます:

  • 宅地(居住用土地など)
    • 路線価方式:路線価を基準に評価します。路線価は、国税庁が公表している道路ごとの評価額です。
    • 倍率方式:固定資産税評価額に地域ごとの倍率をかけて算出します。路線価が定められていない地域で使用されます。
  • 建物
    固定資産税評価額が基本となります。
  • 賃貸物件
    自用物件としての評価額から、借地権や借家権を差し引いて評価します。

2. 金融資産

  • 現金
    そのままの額で評価されます。
  • 預貯金
    亡くなった日の残高が評価額となります(利息分を含めます)。
  • 有価証券(株式や債券)
    亡くなった日の市場価格(時価)で評価されます。ただし、取引が頻繁でない場合は、直近の平均価格が用いられる場合もあります。

3. 動産

  • 車や美術品、貴金属
    亡くなった時点での時価が評価基準です。専門家による鑑定評価が必要な場合もあります。

4. 事業用財産

  • 事業用資産(機械や在庫、営業権など)は、個別に評価されます。帳簿価額や市場価格が基準となる場合があります。

5. 保険金・死亡退職金

これらはみなし相続財産として扱われますが、受け取る金額そのものが評価額となります(非課税枠を除く)。


評価の注意点

  1. 時価の変動
    財産の評価は亡くなった日の時価に基づきます。そのため、相続税申告までに財産価値が変動した場合でも、申告の基準となるのは亡くなった日の価値です。
  2. 専門的な評価が必要な財産
    不動産や貴重品、美術品などは専門家の評価や鑑定が求められることがあります。
  3. 財産ごとの控除や特例
    相続財産の種類や利用形態によって、評価額が減額される特例があります(例:小規模宅地等の特例、配偶者控除など)。

適切な評価を行うことは、相続税の負担を軽減するために非常に重要です。評価が複雑な財産を含む場合、税理士や不動産鑑定士などの専門家に相談することをおすすめします。